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SS#020(single stories)

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     →「十二月の風物詩」

 

■十二月の風物詩(シリーズ・アリオリSS)

 

「あのね、冬至には名前に『ん』がついたものを食べると運気があがるんだって」

「なんかすっごい視線が一部に刺さってるんですけど?」

 柚子湯からあがった恋人の(たけし)がスエットの前を押さえた。

「やっぱり鉄板ネタは『ちんちん』だよね!!」

 言いながらスエットを引っ張り下ろすと、女の子みたいな裏声の悲鳴と一緒にぼろっとほかほかのブツがこぼれた。

「きゃあ、食べられちゃう~」

 柚子の香りがする(ような気がする)肉棒をぱくっと咥えると、みるみるうちに口の中で弾力を増していく。

 唾液を舌で塗りつけるように舐めながら角度を変えてゆっくり出し入れしていくと、わざとらしい悲鳴の代わりに健は本当のあえぎ声をもらしはじめた。

 こうやって自分が主導権を握って(違うものも握って)えっちなことをしてると、相手を喜ばせたい気持ちと同時に『ここがええんじゃろ』(何故か山口弁)といじめ倒したい気持ちが湧いてくる。なんだろう、虫をつつく子どもみたいな気持ちって言ったらあんまりだけど。

 裏筋を舌先で辿り、片手で袋をやさしく包み、もう片方の手ではお尻の肉をがっつり掴む。おにく肉ニク、ああ肉食ばんざい。

 健が苦しそうに訴えた。

「ゆーみ、我慢できなくなる」

「いいよ、出して」

 指先で敏感な部分をつうっと撫でると、健はしゃっくりみたいな声をもらした。

 これはホントに運気あがる気がしてきた。なんて言うの、イケイケな感じ? アゲアゲな感じ? モグモグな感じ?

 いよいよ耐えられなくなったらしい健が両手で私の頭を掴んで激しく前後に揺さぶる。

 喉の奥に飲み込めないかたまりを押し付けられる嘔吐感に耐えながら、歯を当ててしまわないよう舌で健の大事なブツをガードする。

 片手で掴んだままのお尻の肉が、ぐうっと硬く引き絞られ、苦味が舌に刺さった。

 指の力が抜けた健が、私の頭を抱えたまま腰を引いて、まだ硬度を保つブツをそろりと抜いた。

「……私ばっかり運気あがっちゃうなあ」

「大丈夫。俺はこれからアンアン言う由美食べるから」

 そう言いながら健は私の脇の下に腕を差し入れ、床に座った私を引き上げキスをした。

 出した精液を、ちゃんと一緒に味わってくれるのってある種の誠実さだと思うの。

 ――それから健の宣言どおり、私はアンアン言わされて食べられたのだった。

 * * *

「俺、冬至がこんなエロいイベントだって知らなかったよ」

「一般的にはクリスマスの方がエロイベントだよね」

「性なる夜だ」

「『サンタさん、私の靴下にいっぱいプレゼント入れてぇ』って言うんでしょ」

「……もう一回」

 何かが琴線に触れたらしい健に組み敷かれながら私は、こっそりまたくだらないことを考えていた。

 むかし『悪い子の靴下にはプレゼントのかわりにムチが入ってる』って聞いたんだけど、それって人によってはご褒美なのでは?

 

end.(2018/12/25ムーンライトノベルズ初出・2018/12/27サイト掲載)

 
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